目次
騒がしいところでの聞き取り
補聴器装用者の悩みでよく聞くのは「静かなところではよく聞こえるのにやかましいところでの会話が分からない。」というのがあります。これは補聴器の永遠のテーマかというほど頻繁に起こります。ある程度語音弁別能が高い聴力なら比較的容易に静かな環境下では聞き取りを改善することができます。騒音環境下の聞き取りはノイズ抑制機能を強くかけてもなかなか改善しません。
騒音下での聞き取りが困難になる原因
内耳
内耳機能の加齢変化で大きなものは、高音域の閾値の低下が低音域より顕著に起こります。子音は母音より高音域で構成されています。加齢により言葉の歯切れが悪くなり聞き取りにくい状態で騒音による妨害を受けるとさらに言葉の明瞭度を失います。もう一つの原因は、高音は直進性が強く、低音は障害物があっても回り込みやすく直進氏が弱いです。低音はどちらから鳴っているのかわかりにくく、高音は鳴っている方向が分かりやすいです。高音域が障害されると音声の方向感が分かりにくく多方向からの音に妨害されやすいのではないかと考えています。周波数弁別能の低下も声の識別の低下を招くので他人の声との区別があいまいになるのではと考えています。
脳
脳で情報処理を行います。難聴により長年音声信号の脳に到達する刺激の低下が起こっていると処理の量も低下してきます。そうなると当然音声信号とノイズとを分離する処理能力の低下がみられ騒音下での聞き取りの低下を招くと考えられます。
補聴器
補聴器自体にはノイズを低減する機能は多少は備わっております。定常ノイズ(持続的で一定のノイズ)に対しては強いのですが、ノイズが音声の場合はその信号が定常でないためかなり除去するのが困難になってきます。また感音難聴では補充現象というのがあります。小さい音に対する閾値が上昇して小さい音が聴こえにくいのですが、大きな音は正常の耳と同じかそれ以上の大きな音に聞こえます。小さな音は大きく増幅し大きな音は小さく増幅します。そうすると遠くの小さな声と近くの比較的大きな声の大きさの差が縮まります。つまり距離感が分かりにくくなります。居酒屋などで遠くで大声を出されると近くの人の声の大きさとほとんど変わらなくなり目の前の人の声が聞き取れなくなります。
以上のような理由で騒音下での聞き取りが困難となります。
対策は?
騒音下でも話相手の口と自分の耳に伝声管でつながっていたら、周りからの騒音が大きく遮蔽され相手の声がほとんど減衰することなく耳元で聞こえます。もちろんレストランや居酒屋で伝声管を使うなんてことはできません。単一指向性マイクがあればどうでしょう。相手の口元を狙えば相手の声をよく拾い、横から入ってくる声はあまり拾いません。まるで伝声管がそこにあるがごとくふるまいます。それがロジャーマイクロホンです。
どういう場合に使う?
騒がしいところでの会話が聴こえにくい方はもちろん、語音明瞭度が低下して人の話の聞き取りが困難な方でもロジャーマイクロホンを使うと明瞭度が上がりますので効果は見られます。難聴はないか軽度でも聴覚処理障害(APD)のある方は、騒音下での聞き取りが極端に低下しますのでロジャーマイクロホンは有効に働きます。このように補聴器が苦手としていた騒音環境の補助機器としてロジャーマイクロホンは非常に有用です。
効果はどのくらい
以前に投降した「居酒屋セット」に私ともう一人APDの患者さんの効果をアップしておりますのでそちらをご覧ください。効果を実感できない方もおられますが、たいていは効果を実感されます。私の印象としては飲食店での効果はかなりあったと実感しております。
文責:原田

