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残念ながら当クリニックでは扱っておりません
当院では残念ながら骨伝導補聴器や軟骨伝導補聴器の取り扱いはございません。理由は、当該補聴器は主に治療できる可能性のある伝音難聴に対しての適応であるからで、当クリニックでは治療を行っていないのも理由の一つです。また骨導聴力が50dBを超えると聞き取りが確保できなくなりますが来院された際に骨導が50dB以上のことも多く適応が困難なこともよく見られます。。また当該補聴器の適応を考える前に伝音系の障害の場合治療を優先すべきで、精密検査を行い聴力を回復させる方法がないのか専門的施設での診断を行う必要であるからです。治療可能なら治療を行うべきと考えています。一般的に気付かないうちに進行する難聴のほとんどは感音難聴であり、外耳・中耳に異常がなく外耳道に音波を効率よく届ければ聞き取りが改善するので一般の気導補聴器が最も良い適応になります。取り扱い上のデメリットが多いので特殊な事情がなければ骨伝導補聴器や軟骨伝導補聴器の適応になることはなく、ほとんどが気導補聴器の適応になります。このブログでは当該補聴器の仕組みなどの詳細については他のサイトに譲ることにいたします。
気導補聴器が使えない状態とは
特別な事情がない限り普通は、気導補聴器が適応になるということを述べました。では気導補聴器が使えない状態とはどういう状態かといえば、外耳道に補聴器からの音を入れられない場合です。一つは外耳道が正常に形成されていない場合と外耳道自体は正常に形成されているのに疾患により外耳道に音を送り届けられない状態に分けられます。
外耳道形成不全(先天的な原因)
要するに耳の穴が閉鎖しているために補聴器の挿入が不可能という状態です。ただし、内耳は形成されていて骨導聴力が50dB以下であることが骨伝導補聴器の適応条件です。
外耳道疾患により閉鎖された状態(後天的な原因)
外耳道は、正常に形成されていても外耳道に腫瘍や疣贅(いぼ)を発症し閉鎖された場合があります。ただし悪性腫瘍の場合は、補聴器よりもまず治療が優先されるのは言うまでもありません。
耳漏を伴う疾患がある場合
中耳炎や外耳道炎などにより耳漏(耳だれ)がある時は補聴器の故障や原疾患の悪化を招くので気導補聴器は非常に注意が必要で、使用しない方が無難です。耳漏がなくても外耳道を閉鎖することにより原疾患の悪化を招く可能性があるので気導補聴器の装用はお薦めできません。とにかく外耳道を閉鎖することにより、閉鎖空間を作り菌の温床となり感染症がひどくなりますので気導補聴器が使えないわけです。ただし、炎症が慢性の場合に限り骨伝導・軟骨伝導補聴器に適応になり、急性炎症の場合は治療優先で治療後気導補聴器の適応になります。また、慢性中耳炎の場合、手術により治癒すれば気導補聴器を使うことができます。
骨伝導補聴器の現状
医療装具として骨伝導補聴器を扱っているメーカーはかなり少数になりました。一番大きな原因は、最も多い骨伝導補聴器の適応となる慢性中耳炎の減少が挙げられるでしょう。戦時中に幼少期を迎え十分な治療を受けられなかった世代に慢性中耳炎は偏っています。その世代の減少に伴って慢性中耳炎を診る機会は減少していきました。それに伴って骨伝導補聴器の需要も減少し、堺市で開業していたときも骨伝導補聴器の需要は次第に減少しクリニックを譲渡する頃(2021年頃)には1例のみになりました。骨伝導補聴器の詳細についてはメーカーのサイトをご覧ください。
軟骨伝導補聴器
骨伝導補聴器の代替として軟骨伝導補聴器があります。骨伝導補聴器は皮膚と通してあるいは直接骨を振動させて、振動を内耳に伝える補聴器ですが、軟骨伝導補聴器はメーカーのサイトを参照すると3つの経路を紹介しています。振動させるのは、耳介軟骨ですがその振動が気導音として伝わるか軟部組織を伝わるか軟部組織から骨伝導に移行するかの3つです。別に骨伝導補聴器でいいのではという意見が出てきても不思議ではありません。軟骨の方が骨よりも振動させやすいので、振動子を骨に強く圧迫する必要がないのが軟骨伝導の大きな特長と考えています。基本的には、振動子を両面テープで耳珠に張り付ける方法と、耳甲介に振動子を埋め込んだモールドを作成しそれで耳甲介の軟骨を振動させる方法があります。軟骨伝導補聴器は純粋な医療装具という位置付けのために医療機関でのみ取り扱っています。(大阪の軟骨伝導補聴器取り扱い医療機関)
もう一つの骨伝導補聴器
従来の骨伝導補聴器は、振動子を皮膚を通して骨に伝えるものですが、Bahaシステムは骨固定型の補聴器でチタン製のインプラントを頭蓋骨に埋め込みそちらに振動子をつけて直接骨を振動させる骨伝導補聴器です。皮膚を通さないので軟部組織でのロスがなく振動を伝えることができますが、インプラントを埋め込む手術が必要でインプラントの露出部での感染に注意しなければなりません。
まとめ
骨伝導・軟骨伝導補聴器について述べてまいりましたが、外耳道閉鎖症や慢性中耳炎などの基礎疾患があり気導補聴器が適応できない場合に適応が限られます。加齢性難聴に代表される感音難聴に対しては、気導補聴器が使えますのでほとんどの方は適応対象外です。当クリニックも骨伝導補聴器の適応の方は直近5年間で1例しか来院されませんでした。もちろんその方は、適切な医療機関に紹介させていただきました。それほど稀ですので当クリニックでは、気導補聴器のみを取り扱い対象とさせていただいております。また気導補聴器が使えるならそれがベストな選択です。軽度から重度難聴まで適応範囲があり、最も普及している補聴器なので、機能の充実も他の追随を許さないのが主な理由です。各主要メーカーも最も力を注いでいる分野であり、日本聴覚医学会が提唱する補聴器適合検査の指針(2010)は気導補聴器に対する検査指針で骨伝導・軟骨伝導補聴器の記述はありません。学会も当該補聴器は必要性は認めつつも一般的には適応はないとみているようです。そういった流れから当クリニックでは取り扱わないことになりました。いくつかの研究機関では、力を入れているようなのでそちらに譲る事にいたします。
文責:原田

