31歳男性 耳穴型補聴器の調整

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症例2

31歳男性 1年前から両側IIC補聴器(超小型耳穴型)を購入したがあまり効果がないために来院した。

  • 両側補聴器装用時の67S語表 60dBで55%の聞き取りであった
  • ヘッドホンでの最高語音明瞭度 右70dB 85% 左70dB 80%
  • 補聴器は適合不十分である

来院時の補聴器調整ソフトの画面である。右側の高音部のハウリング閾値が下がっており、ハウリングを避けるために高域のゲインが著しく圧迫されている。左のハウリング閾値の低下は軽度であるが、右とのバランスをとるために高音域のゲインが下げられている。まずはハウリングの閾値を上げなければ十分なゲインの確保が不可能なため補聴器の型のやり直しを行うことになった。

右の補聴器の調整前と調整後の図である。グレーの背景は、調整前でグリーンの背景は調整後である。
まずは型のやり直しを行いハウリング閾値を上昇させた(図1と図3の一番上の曲線を参照)。図2の下図をみると高音域を中心に全くゲインが足りないことがわかる。図4の下図のようにゲインとターゲットを一致させると図3の調整画面では、ゲインとターゲットがほぼ一致しているが低域のゲインが少しオーバーしている。この例では両者の大きな乖離は見られなかった。

図5の調整画面を見ると高音域のゲイン不足を示しており、図6の下図を見ると実測でも高音域を中心としてゲイン不足を示している。図8の下図のようにゲインとターゲットがをほぼ一致させると図7の調整画面でもゲインが十分出ていることがわかる。

左図は症例2のファンクショナルゲインである。
聴力に対して適切な利得が得られているのがわかる。聞き取りの向上が自覚され補聴効果が十分にみられた。この症例は初診と型直し後の再診の2回の通院で問題が解決された。なおこの症例の要旨は第69回聴覚医学会総会・学術講演会で発表した。

  • 音場による67S語表 右90% 左90% (調整前両55%)
  • 右耳は適合許容、左耳は適合良好と判定
  • 装用時の聞き取りは著明向上
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