補聴器と予備校

目次
一体何というテーマかと思われることと存じます。実は補聴器装用者は意外に予備校生と共通することが多いと感づいたのでお話を勧めたいと思います。
さて、予備校というと志望大学を目指して入試をパスできるレベルまで学力が達するように努力しに行くところですよね。志望校のレベルが高すぎると合格できそうもないので、合格ラインに達する可能性のある志望校を選びます。次に大事なのは本人の努力でありそれがなければ話になりません。予備校は教材を配布し、それに沿った講義を行います、生徒はそれを理解し反復することにより学力向上を目指します。模擬テストの成績により今後の方針を立て実行していきます。
ハラダきこえクリニック北浜は、難聴で聞き取りの成績が下がった生徒(患者)を希望するレベルまで補聴器という教材を使って引き上げる予備校(ハラダきこえ予備校)みたいなものです。聴覚検査が予備校のクラス分けテストのようなものです。それは2種類ありまして、一つは音の感度の検査(純音聴力検査)ともう一つは語音聴力検査(ンを除く濁音を含む50音の識別)の二つの検査から会話での聞き取りがどの程度改善するかを推察します。予備校でいえばどの大学に入れるかを推定するようなものです。補聴器の効果が見込まれると判断されればいよいよ補聴器の試聴を開始します。試聴機の選択を適切に行い、耳掛け型の補聴器は試聴器で耳穴型はオーダー品を作製してから試聴を開始します。予備校でいえばクラス別教材で授業を開始するようのものです。

さていよいよ補聴器の調整を行いますがこれは予備校では講義に当たります。それから1日に10時間以上補聴器を装用してできるだけ会話をしたり、本を音読したり、オーディオブックを聴いたりをお願いしますが、これは予備校生が自宅学習することに当たります。補聴器を装用して活用することにより学習効果で聞き取りの成績が上がったり、周囲騒音に慣れてきます。これは予備校生が勉強することにより成績向上するのと同じです。
このように補聴器装用者は学習により会話が問題なくできるレベルになると晴れて合格で、補聴器を購入すればちゃんと活用できます。予備校では生徒により志望校が異なるので卒業時に各生徒は学力レベルが難関校突破できなくても卒業することは可能です。なのでハラダきこえ予備校も大勢の中で会話が困難でも本人が満足できれば合格です。
予備校で入学前から成績がいいと難関大学合格者が多いようにハラダきこえ予備校でも生徒(患者)の入学時の語音明瞭度の成績優秀者はやはりいい結果を出しますし、残念な成績(本人にはいかなる非はありませんが)な方は満足できる日常会話レベルに達することが困難である場合が多いです。もちろんビリギャルのようにどん底から這い上がり難関大学合格もないわけではありませんが、そこには涙ぐましい努力の物語があり映画になるくらい稀です。補聴器を装用しながら語音明瞭度を40%代から90%代になったビリギャル級の快挙を成し遂げた方を知っていますが同じような方は知りません。でも努力しても無駄ではなく、少しでも語音明瞭度を上げれば生活改善は望めるので聴覚リハビリをすることはお勧めしています。
予備校に入ったからと言って志望大学合格が約束されたわけではないことは常識として周知されています。志望校合格は不確実ですから慎重に予備校を選びなおかつ勉学に励むわけです。補聴という行為が不確実性を大いに含んでいるという認識は一般の方はないと思います。しかし現実は、受験と同じで補聴器を調整して聴覚リハビリテーションを施行して初めて結果が分かるのです。補聴器供給側選びと本人の努力は大切なのです。
予備校は入試に合格するのに足りない学力を補充するために教材と講義を提供します。受験生は学習した内容を理解する努力をし学力の向上を目指します。難聴患者さんはコミュニケーションをするのに十分な聴力を失っています。聴力は音そのものを聴く力(純音聴力)と言語を聴く力(語音聴力)に分けられるのはすでに述べました。純音聴力を補聴するのは比較的たやすいですが語音聴力の改善はかなり困難です。難聴歴の長い方は純音聴力の割に語音聴力が悪く80歳を過ぎると50%未満(100%が満点)のことがあり補聴器を装用しても音声は音として聞こえても言語として聞こえにくい状態です。ところが難聴歴の短い70歳未満の方なら語音聴力が80%以上あることが多く補聴効果が初期から見込めることが多いようです。受験生が入学時に偏差値が絶望的にもかかわらず死ぬ気で頑張り難関を突破するというサクセスストーリーが現実に存在します。補聴も同じで初診時の検査で語音聴力の結果が悪くても本人の努力で聞き取りの能力を向上するいわゆるスターペイシャント(患者の中のスター)がおられるのも事実です。でもスターと呼ばれるだけあって数少ない存在です。
補聴器装用と受験の共通点について解説してきました。ではそれが分かったうえで一体どうすればいいのかと思われることでしょう。受験を経験された方ならどうやってそれを乗り越えてきたか経験されたことと存じます。その過程を示します。

1.目標設定
2.現在の偏差値から達成可能圏内に場合により修正。
3.目標偏差値に向けて努力
4.入学試験本番

例えば目標設定をA大学にしたとします。すると予備校講師から「お前の偏差値だと無理だ。」と言われたのでB大学だとあと2~3ポイントアップすれば合格圏内に入るのでB大学を志望校と設定。偏差値アップに努力して勉強し成績アップに成功し、入試も合格するという運びになります。
補聴器の場合は、少し順序が前後しますがおおむね共通しています。こちらは日常での会話が最終目標になります。

1.聴覚検査
2.検査結果(特に語音明瞭度)からの成果目標
3.目標に向けて聴覚リハビリテーションに努力する
4.日常生活での会話

聴覚検査を見れば補聴器装用時の効果がおおよそ推定できます。ただし推定できるのは医療者側であり当の本人は補聴器を装用すれば元通りに聞こえると考えていることが多いのが実情です。語音明瞭度の成績が悪いと補聴器を装用しても音が大きくなるだけでなかなか言葉として聞こえてこないのが現状です。そこで必要なのは聴覚リハビリテーションです。受験生にとっての受験勉強に当たります。では具体的にはどうするのかと思われると思います。勉強にも段階があるとの同じように聴覚リハビリテーションも段階があります。まず第一段階は、音になれることです。人の話し声はもちろんのこと環境騒音、自分の声、咀嚼(そしゃく)音に慣れる必要があります。話相手の声以外は必要ないと考えがちですが、それらが聴こえないと危険回避ができません。なので必要なとき以外は、聞き流せるようにしなければなりません。第2段階は、1対1での会話ができるようにすることなのですが、声が聞こえるが内容が分からないという壁によくぶち当たります。そういう時は、反唱することが一番有効とされています。反唱とは話相手がしゃべった通りにしゃべり返すことです。間違ったところは何度もやり直すことが大切です。第3段階 複数人での会話あるいはやや騒々しいところでの会話ができることですが、これができる人は受験でいえば難関大学合格レベルです。補聴器装用者の中にもこれができない方は相当数おられます。場数を踏んで習得するしかありませんがレベルが高いのでみんなが到達できるわけではありません。第3段階へ到達できない人がどうしても周囲が騒がしいところでの会話が必要な場合の解決法は、Bluetooth対応の指向性外部マイクの音声をBluetooth受信可能な補聴器で受信します。周囲騒音は抑えられ話相手の声がクリアに聞こえて会話することが可能です。
日常会話での活用が受験における試験本番です。本番に向けて聴覚リハビリテーションにはぜひ頑張ってもらいたいものです。
いかがでしたでしょうか? 補聴器と受験との共通点がおわかりいただけたでしょうか? 受験は入試問題を解くスキルが必要で、補聴器は増幅した音声を言語に翻訳するスキルが必要です。でもよく考えると道具でスキルのいらないものはあるでしょうか。パソコンやスマホの扱いにスキルが必要ですし、その中のアプリの一つ一つを使いこなすにもスキルが必要です。よくメガネと補聴器が比較されますが、メガネには確かにほとんどスキルが必要ありません。なぜならメガネは屈折異常の強制具であり視覚障害がない場合にのみ有効だからです。メガネはスキルのほとんどいらない数少ない補装具の部類に入るものであると考えています。
「そんなに面倒なものならやめようか。」特に年配の方にとっては厳しい道具であることに変わりはないですのでこういった言葉が出るかもしれません。じゃあなぜこんな補聴器に否定的な話題をアップしたのかについては、いたずらに補聴器に対して大きな期待をしないためです。電気製品を購入する感覚でやってみたら効果が期待外れだった場合あなたの貴重な時間が無駄になり失望も大きいものになるでしょう。また「補聴器なんて役に立たない」という補聴器に対する濡れ衣が広まる原因にもなります。補聴器が役立つには、以下の条件が必要です。最小限の語音明瞭度と適切な補聴器の選択と調整ならびに適切な聴覚リハビリテーションによる補聴器装用時の音場での聞き取りの改善がみられないと役に立ちません。また最初の語音聴力が20%未満の時は補聴効果はかなり絶望的であることをお伝えしておりますが、そのことをお伝えするのはつらいものです。難聴を放置すると認知症のリスクが高まるといわれておりますのでチャレンジしてみる価値はあると思いますので是非ご検討ください。長文にもかかわらずお付き合いくださりありがとうございます。
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